STAFF INTERVIEW|看護師
東京の救急からUターン。「落ち着いて向き合う看護」を、専門病院で見つけた。
高橋 真央さん/2021年入職

- 入職年
- 2021年
- 出身
- 宮城県
- 前職
- 急性期病院(循環器・救急)6年
東京都内の急性期病院で6年間、循環器と救急の最前線に立ってきた高橋さん。スピードと判断力が求められる現場で力をつけた一方で、「一人の患者さんと、もう少し長く向き合いたい」という思いが年々強くなっていったと言います。家族の暮らす仙台へのUターンを機に選んだのは、救急ではなく甲状腺・内分泌の専門病院でした。病棟看護と新人プリセプターを担う今、その選択をどう振り返るのか。話を聞きました。
PROFILE 宮城県出身。看護専門学校を卒業後、東京都内の急性期病院に就職し、循環器内科病棟と救命救急センターで合わせて6年間勤務。夜勤やオンコールの多い環境で観察力と急変対応を磨く。結婚と出産を見据えて家族の近くで働くことを考え、2021年に仙台あおば甲状腺・内分泌病院へ入職。現在は内分泌外科病棟で病棟看護を担当しながら、新人看護師のプリセプターを務める。
「速さ」だけではない看護がしたかった
前職の救命救急は、数分の判断が患者さんの予後を左右する世界でした。心電図の波形や血圧の推移を読み、医師に先回りして準備を整える。その緊張感にやりがいを感じていましたし、観察力や急変対応の引き出しは確実に増えました。ただ、患者さんは数日で次の病院へ転院していくことが多く、『あの方はその後どうなったんだろう』と気になったまま見送ることが少なくありませんでした。
三十歳が近づくにつれて、もっと一人ひとりの生活や気持ちに踏み込んだ看護がしたいと考えるようになりました。ちょうど祖母の通院を手伝う機会があり、専門病院で『検査から治療、退院後の生活まで一貫して支える』看護があることを知ったんです。それが、当院を見学する直接のきっかけでした。
見学の日、外来の看護師さんが患者さんに『お仕事は声を使うお仕事でしたよね、手術の後はしばらく無理をしないでくださいね』と、病気のことだけでなく暮らしの事情まで踏まえて話している姿を見て、『私がやりたかったのはこれだ』と素直に思いました。
同じ病名でも、支え方は一人ひとり違う
甲状腺や内分泌の疾患は、検査値が同じでも、その人の状況によって必要な看護がまったく変わります。たとえば同じ甲状腺機能の数値でも、これから妊娠を希望している方、声を使う仕事をしている方、遠方から通院していて頻繁には来られない方とでは、優先して伝えるべきことも、退院後の準備も違ってきます。
入職して最初に戸惑ったのは、まさにこの点でした。急性期では『今この瞬間の安全』を最優先に動きますが、ここでは患者さんの生活背景を丁寧に聞き取り、何を一番大切にしたいのかを一緒に整理してから支援を組み立てます。疾患の知識に加えて、聞く力と、優先順位を考える力が必要だと痛感しました。
東北6県の広い範囲から通院される方が多いのも特徴です。片道2時間以上かけて来る方には、帰宅後に困らないよう、服薬の説明や次回検査の段取りを一度の入院でできるだけ完結させる工夫をしています。

外来・病棟・手術室がつながっているから学べる
当院の看護部は、外来・病棟・手術室を別々の部署として切り離していません。初診で不安を抱えていた方が、検査を受け、手術を決め、入院し、退院していく——その一連の流れを同じ方針で見られるので、『なぜこの観察が必要なのか』が腑に落ちるようになりました。
前職では指示された観察を正確にこなすことに必死でしたが、今は術前の小さな表情の変化や声のかすれから『退院後に困りそうなこと』を予測し、先回りして医師や薬剤師、栄養士に相談できるようになりました。多職種が同じ患者さんを見ているので、相談のハードルがとても低いんです。
暮らしと両立できる働き方になった
夜勤はありますが、当院は計画診療が中心で予定入院がほとんどなので、急な呼び出しや勤務変更がほとんどありません。月の予定が早く決まるので、家族との時間や勉強の時間を計画的に確保できるようになりました。
今はプリセプターとして新人の育成にも関わっています。自分が入職時に先輩へ気軽に質問できて救われたので、後輩が『こんなこと聞いていいのかな』とためらわずに済む雰囲気を作ることを大切にしています。
Q1転職先に当院を選んだ決め手は何でしたか?
救急で身につけた観察力を活かしながら、一人ひとりの治療選択や退院後の生活まで支えたいと思ったことです。見学のときに、看護師が患者さんの不安や仕事の事情まで丁寧に共有している姿を見て、ここでなら自分のやりたい看護ができると確信しました。家族の暮らす仙台に戻れることも、もちろん大きな理由でした。
Q2専門病院ならではの難しさはどんなところですか?
同じ病名でも、検査値、手術歴、妊娠の希望、仕事での声の使い方などで、必要な支援がまったく変わることです。疾患の知識だけでは足りず、その人の生活背景を聞き取って、何を優先するかを一緒に組み立てる力が求められます。最初はこの『個別性』に戸惑いましたが、今はそこに看護の面白さを感じています。
Q3入職して一番成長したと感じることは?
術前から退院後まで一連の流れを見られるようになったことで、一つひとつの観察が何のためにあるのかがつながって理解できるようになりました。医師や薬剤師、栄養士に相談するタイミングも分かるようになり、『この患者さんは退院後にここで困りそうだから、今のうちに栄養士さんに入ってもらおう』と先回りできるようになりました。
Q4前職の経験で、今に活きていることはありますか?
救急で培った『わずかな変化に気づく観察力』は、専門病院でもそのまま強みになっています。急変が少ない環境だからこそ、小さなサインを見逃さないことが、患者さんの安心につながります。急性期の経験は無駄にならない、とはっきり言えます。
Q5働き方は前職と比べてどう変わりましたか?
夜勤自体はありますが、予定入院が中心なので急な勤務変更がほとんどなくなりました。月の予定を早く立てられるので、家族との時間や勉強の時間を確保しやすくなっています。オンコールに常に身構えていた頃と比べると、心の余裕がまったく違います。
Q6新人のプリセプターとして心がけていることは?
『こんなことを聞いたら迷惑かな』とためらわせないことです。私自身が入職時に先輩へ気軽に質問できて助かったので、後輩には手順の暗記ではなく『なぜそうするのか』をセットで伝えるようにしています。理由が分かれば、応用が利くようになりますから。
Q7これから挑戦したいことを教えてください。
甲状腺・内分泌看護の認定につながる学びを深めて、患者さんの意思決定支援をもっと専門的に行えるようになりたいです。将来は外来から病棟まで横断的に若手を育てられる存在になり、東北の患者さんが安心して通える看護の質を、チームとして底上げしていきたいと考えています。
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8:30
情報共有・申し送り
夜勤からの申し送りを受け、その日の手術・退院予定と注意点をチームで確認します。
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9:00
術後の観察
手術翌日の患者さんを中心に、呼吸・疼痛・声の変化を観察。小さなサインを記録に残します。
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10:30
退院指導
退院される方へ、服薬や生活上の注意を、ご家族も交えて具体的に説明します。
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12:00
休憩
職員食堂で同期とランチ。管理栄養士監修の日替わり定食が楽しみのひとつです。
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13:00
入院受け入れ
翌日手術の方を受け入れ。不安が強い方には時間をかけて術前の流れを説明します。
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14:30
多職種カンファレンス
医師・薬剤師・栄養士と、退院支援が必要な患者さんについて方針を共有します。
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16:00
新人の振り返り
プリセプティと一日を振り返り、できたこと・次の課題を一緒に言語化します。
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17:15
退勤
残業は月平均7時間ほど。予定が立てやすく、勉強や家族の時間を確保できています。